大学院で学んだ科目を紹介しゃす!
春期も終わり、ひと段落。咽頭結膜炎とかいう目がゾンビみたいに充血する謎の病に冒されて夏休みが始まりました。
このブログを始めた頃はすでに大学院がスタートしていました。当時は勉強で精一杯でしたが、無事終えたので改めてふり返る余裕ができました。学びの備忘録という側面も兼ねて、今回は僕が履修した科目の概要を紹介します:)
そんで何を勉強していたのよ
ということになるわけですが、
僕は教育課程のTESOL専攻として、今回はCore(必修)から1科目、TESOL選択から2科目、教育課程の選択から1科目履修しました。
Core(必修):Introduction To Research & Inquiry
TESOL選択:Assessing and Evaluating in TESOL Environments
TESOL選択:Second Language Literacy
教育課程の選択:Online Learning and Teaching
それぞれ、こんなことを学んでいました↓↓
Introduction To Research & Inquiry
この必修科目は研究のイロハ、つまり計画からそのまとめ方までを体系的に学ぶ科目です。僕の専攻はコースワークのため修士論文を書くことはありません。しかし、研究や論文がどういうものかを理解しておくことは必須ということでしょう。
また、来期の課題では4,000語の研究レポートを書くと聞いているのでその準備段階としての役割もあると思います。
研究には課題設定ーパラダイム―デザイン―データ集約―データ分析―結論という大きな流れがあります。この科目は、各項目に焦点を当てながら系統的に進んでいきました。
授業自体は基本的にはオンラインでの講義+4週に一度のキャンパスでの授業。流れに沿って書けるよう課題が設定されており、それをこなしていくために必要な知識を取り扱う科目です。
大学生のときに卒業論文を書いた依頼のリサーチ。当時文献を探しまくって、読みまくって。文章にするにもなるべくアカデミックライティングとして体をなすべくパラフレーズしまくって・・・というあの忌まわしい記憶が蘇ってきそうでした。
しかし、そんなことはありませんでした。
そんな記憶を掘り起こす暇もないほど、圧倒的な量を扱ったからです(そっちかい笑)。合計で3つの課題に沿って講義が進んでいくのですが、トピックは自分で決める必要があります。ここに多くの時間を要しました。
もともと学校のチャイムが学習習慣に与える影響を掘り下げることをテーマとして扱ったのですが、文献をどうしても見つけられませんでした。そのため関連文献が弱かったこともあり、1つ目の「関心のある研究の紹介」という課題では期待はずれの点を取ってしまいました。
そのためそれらを扱った課題分野における「量的研究の論文と質的研究の論文を分析する」という2つ目の課題では自律学習という少し広い分野に変更。
結果的に自分で「課題設定〜データ収集」をまとめる3つ目の課題では自律学習の構成要素である自律が発揮される3つの領域において、どの程度の影響力があるのかを統計的に分析するという当初とは全然違う方向へ進んでいきました。笑
この科目、避けては通れないとは言え現場でどう活かせるのかが不明でした。しかし、シドニー大学での学会に参加したときにその構造通りのプレゼンを聞いて、そういうアカデミックな分野においての背景知識として役に立つんだなと実感しました。
Assessing and Evaluating in TESOL Environments
評価について学ぶ科目でした。
履修した中で2番目に最も興味のある授業で、非常に楽しみにしていました。僕はバチバチの文系ですが、理論や科学が大好き。カラクリの歯車を1つ回すとすべてが緻密に連動するように、組み立てられたものが機能することに惹かれます。笑
教員時代にテスト作成について独学で学んだこともあり、評価の授業はそれに近いものを感じていました。
なぜAなのか、なぜ5なのか、なぜ◎なのか。
この評価が何につながるのか、この評価から何がわかるのか、この評価は何を求めているのか。
テストにはどんな種類があるのか、評価にはどんな相関関係があるのか、リーディングやライティング、リスニングやスピーキングはそれぞれどう評価するのかなど。結果は期待以上!
評価について知らない部分を掘り下げて考えることができました。改めてさまざまな評価やテスト、検定を振り返って見ると、たしかに違う見え方となったのが印象的でした。
科目を通して学んだことはズバリ
完璧はない。すべては文脈に拠る。
たとえばテストを作成する時には次の5つの要素がいかにバランス良く盛り込まれているかが焦点となります。それはすなわち妥当性、信頼性、実用性、波及効果、真正性のことですが、全てが揃うテストを作るのは不可能。テストの種類や実施の目的、影響や環境、受験対象やレギュレーションなどからその優先順位を導いた結果が今の世の中のテストです。TOEICもIELTSも英検も入試も定期考査も例外はありません。
これらをどの深度で認知するかという目を養ったというのがこの科目での学びでした。また、講義を担当した先生が非常におもしろい方で、これが彼の最初の科目とは思えないクオリティでした。背景知識や現場の経験もとても役に立ってくれたので個人的に満足度の高かった科目です。
Second Language Literacy
第2言語のリテラシーを追究する科目でした。
昨今リテラシーとはもはや読み書きだけを指す言葉ではなくなってきています。その意味は幅広く、唯一無二の確固たる定義が難しい概念という理解です。ただ、第2言語の習得という設定を踏まえると言語を運用する上で必要となる能力として少し限定されます。
その能力に言語教育という視点からメスを入れて掘り下げていく科目でした。リテラシーということもあり、単語の教え方1つからExtensiveリーディングまで、実に幅広い内容を扱いました。多岐にわたる内容がリテラシーという1本の糸で繋がった授業でした。
正直あまり乗り気で取った科目ではなかったのですが、課題がおもしろかったです。課題では
・非ネイティブの人をインタビューし、彼らの第1言語と第2言語の類似点や相違点を分析
・実際の授業案を3時間分デザイン
といった具合で実践的な内容を扱いました。
高校からオーストラリアに渡ったという自分と違う生い立ちでUOWに辿り着いたタイの友人をインタビューし、それ自体が大きな発見につながりました。授業案も、自身が今まで実践してきた内容をベースに作り上げました。
余談ですが、僕の当時の授業案は県内外の多くの先生のやり方を自分なりに統合したもので、ある程度の評価をいただいていました。しかし、太田元視学官にのみダメだと言われた方法でもあり、現場とお上のズレを感じた手法でもあります。それが今度は教授法として国際的な基準でどう判断されるのかが非常に楽しみです。
ただ、講義の内容は僕のリスニングがポンコツなこともあり、結局最後までよくわからないまま13週を終えてしまいました。
Online Learning and Teaching
最も興味のあった科目であり、最も学びを得た科目です。
もし今後、同じようにUOWのTESOLを学びに来られるならば間違いなく履修をオススメします。
オンライン学習を実際にデザインしながら学ぶ科目で、一言で言えば体験学習を通してオンライン学習の奥深さを学ぶことができる科目です。
僕は自分のオンライン学習の概念がいかに表面的であるかを思い知りました。授業でネットを使って視覚映像を見せたり、ライティング用に調べものをさせたり、学習アプリで勉強させたり。そのぐらいしかしてこなかったし、周りの進んだことをしている学校の先生も提出物をメールで送らせるくらいでした。
そんなつもりはなかったのですが、結局僕も何だかんだオンライン学習に蓋をしていました。自分の知っている範囲内でこなしていただけで、その真価を見て見ぬフリをしていました。モチベーションや疎外感といった蓋をする理由にできそうな内容はすでに数多くの研究がなされています。世界のオンライン学習事情はどうなっているのか。そこに気付くことができます。衝撃です、ホント。
実用性ー学んだ知識をどう活かせるのかーもこの科目の魅力でした。
特に2つ目の課題では、グループを組んでオンラインのアクティビティを作って運用しました。学ぶ内容は当然マスターに準じた高度な内容ですが、それらを学習ツールを使ってデザインするという課題です。そこで僕は「認知負荷について学ぼう」というオンラインアクティビティを作り運用しました。ここで特筆すべきは2つ。
まず、グループメンバーと最後まで会うことはなかったということ。なんとZoomなどのオンライン上の顔合わせもしませんでした。が、なんとめちゃくちゃ上手く行ったんですね。オンライン学習の可能性をアップデートした瞬間でした。
もう一つはオンライン学習ツールにたくさん触れることができたこと。課題は学習ツールを決めるところからだったので、それぞれのグループが学習活動に適切なツールを活用していました。それらに参加するのも課題の1つで、他のツールを活用するとこうなるんだなぁというイメージや、そういう構成で作ったのか〜という良い影響を大いに受けました。
そして、これら全ての科目についてくるのが文献というやつです。この文献を探す作業は検索ツールがあるので良いんですが、見つける作業が途方もなかった。笑
最後に
いかがでしたか。
今回は、僕が実際に学んだ科目の概要を紹介してみました。課題の評価は秀でて良いわけではありません。しかし、楽しく勉強し、充実した日々を送っていたのはまちがいない。そんな4科目でした。
どの授業も非常に求められるレベルは高く、確かにUOWがTESOLの充実した大学という話も頷けます。
それぞれ学んだことを忘れないようにこの夏休みで見直しておこうと思います。今回の話が少しでも参考になれば嬉しいです。
では。
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