【教育:ZPD】ウーロンゴン大学の学び。なぜ学習者には先生やメンターが必要なのかを科学的に考えてみる。

Kai
Kai

自身の英語教育をアップデートするために渡豪、大学院でTESOLを修了したところです。

こんにちは、Kaiです。風邪で39℃を超える熱。体の免疫が落ちたのかな。。。

言語学習。今日日ネットや無料動画のおかげで簡単に自分で勉強できるようになりました。独学がピッタリとハマる方も中にはいると思いますが、一方で、独学だと思ったよりも伸び悩む・・・そんな方もいるのではないでしょうか。

今回は言語学習において、メンターや熟練したインストラクターと共に学ぶことがなぜ大切なのかをZPDと呼ばれる視点から紹介します。教育で悩む先生に少しでも役に立てば幸いです。

ZPDとはThe Zone of Proximal Developmentの略称で「発達の最近接領域」と呼ばれています。ソビエトの心理学者ヴィゴツキーによって提唱された概念で、他者の助けと指導で遂行できるが、まだ独力では遂行できない課題の範囲を指します。

この領域は、いわば学習者が発展途上にある技能や能力を示しています。要するに、ZPDとは学習者が助けなしでできることと、熟練したパートナー(教師やより知識のある仲間など)の指導や応援を受けることで達成できることとの間のギャップです。

さらにCook (2016)はここで「唯一の良い学習とは発達を先取りするもの」と位置付けており、ZPDを踏まえた支援も「学びとは外発的な刺激と行動が、ゆくゆく学習者の中に内在化されていくもの」というその考え方に合致するのが分かります。

この知識をどう教育の現場に活用できるのでしょうか。ZPDは主に熟達のステップを適切にデザインするのに役立ちます。英語を流暢に話すことを目標にしているKaiくんを例に考えてみましょう。

彼は文法、談話、メッセージの構成などの課題を自覚している状態です。そこで教師はまず、彼の現在の話す能力のレベルを評価し、独力でできることを特定します。

次に適切なサポートを受けて彼が達成できること(まだ独力では実行できないが、指導を受ければ達成できる課題)を把握します。ここがZPDの決定です。例えば、彼は基本的な文章を構築できるものの、複雑な文法構造や高度な語彙の使用には助けが必要かもしれない・・・といった具合です。

教師は、次にスキャフォールディング(足場作り)を通じてサポート、すなわち課題を分解して、必要に応じた支援を提供していきます。これには、正しい話し方のモデルを示す、フィードバックする、徐々に複雑となる練習の機会を提供する・・・などが当てはまるでしょう。

このとき大切なのは、ZPD内で学ぶ準備ができているか。この学習プロセスは必ずしも一方向ではなく、彼のニーズと進捗に適応している必要があります。そこで教師は、彼が最も達成可能な課題に取り組むようサポートし、自信とスキルの向上にともない徐々に複雑な課題に取り組ませていくのです。

彼の能力が向上するにつれて、ZPDもシフトし、新しいZPDが設定されます。

独力でできるよう支援するためのZPDには教育実習で知った「究極には教師の不要化を目指す」という考えに通じるものを感じます。学習者の立場からすると、サポートしてくれる先生や仲間がいると頑張れるというのは、このギャップが定量化されることで目指すゴールが具体的になるからなんですね。

いかがでしたか。今回は、ZPDを紹介しました。

ZPDは、学習者の進捗によって変動するため適切に捉えるのが難しい領域とも言えます。しかし、この概念を知っておけば、なぜ児童・生徒に支援者が必要なのかがより明確となるのではないでしょうか。

教育は科学であると考える僕からすると、愛情・情熱だけでは教育は務まりません。ある種、理論武装としても押さえておきたい知識です。ぜひ上手に活用していきたいところです:)では。

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