【英語学習】リスニング力をアップさせるための科学的アプローチ:英語リスニングの『聴く』仕組み①

Kai
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リスニングのメカニズムを科学しよう

こんにちは、Kaiです。リスニング力を上げたい、でも何をどうすればいいのかよくわからない。結果、とりあえず問題を解いて終わり。そんな方も多いのではないでしょうか。

実はリスニングという目に見えない能力は、科学的にその仕組みが解明されています。ということで今回は、「リスニング力を科学する」という視点で、効果的な学習法を探っていきます!:)

リスニングスキルには3つの構成要素が存在します。それがコチラ。

今回は1つ目の認知処理について紹介します。

第2言語のリスニングのメカニズムは、学術的には以下のように示されます。

(Vandergrift & Goh, 2011, p. 17)

図が少し複雑ですが、認知処理に関わる要素は以下の4つ。

1)Perception, parsing, and utilisation
2)Bottom-up and top-down processing
3)Metacognition
4)Controlled and automatic processing

これらを1つずつ見ていくことで、「聴く」という動作のメカニズムを覗いていきましょう。

図の真ん中にどっと構える3つの段階について見ていきましょう。結論、リスニングとは音を聞ける × 言語体系 × 適切な解釈なんですね。1つずつ掘り下げていきましょう。

Perception(知覚): 音を受け取り、分類する

すなわち音を受け取るフェーズです。テキストに留意し、音声の特徴を把握し、自分の知っている言語体系へ分類する。

要は英語と認識する段階です。ここで難しいとされているのは

・言葉を認識できない
・品詞を無視してしまう
・チャンクに分けられない
・文の最初の情報を逃してしまう
・集中力

といった問題です。知覚できなければ、ただの暗号となってしまうからですね。

Parsingとは(構文解析): 聞いた内容を理解する

言語体系で処理するフェーズです。文法や構文を介し、その文を理解する。

ここで難しいとされているのは

・聞いた言葉をすぐに忘れてしまうこと
・聞いた言葉のイメージが湧かないこと
・聞き逃した部分に続く内容を理解できないこと

これらが挙がります。

Utilisationとは活用。妥当に解釈するフェーズです。意図や示唆する意味を汲み取る。

これは英語の知識とは別の分野。豊富な知識をもとに「こう言うことを言いたいのね」とたどり着く能力です。

・言葉は理解できるが伝えたいことがわからない
・メッセージの不一致に困惑してしまう

などが難しさとしてあげられます。

各段階を繋ぐプロセスは大きく2つに分けられます。それがBottom-upとTop-down。それぞれ見ていきましょう。

Bottom-up:どう聞き取るか

発音やリズムなどを聞き手が言葉として受け取り、妥当な文法や語法で理解する処理です。

例えば、What you learn after you know it all is what counts. と言うスピーチを聞いて、その音声を適切に主語、述語、補語のまとまりに分けられるかどうか↓

主語:What you learn after you know it all
動詞:is
保護:what counts

そして、

最初のwhat・・・疑問詞の名詞節
2つ目のwhat・・・関係代名詞

聞きながら理解していく過程がBottom-up処理です。

Top-down:どう解釈するか

主に文脈や知識の結びつけに関わる処理です。それこそ知識には背景知識はもちろんのこと、実用的・文化的な知識、さらには文構成の知識があります。これらは長期記憶に保管されていて、違いに補完して意味を汲み取ります。

文脈を利用した発話の例として、The door is open.は以下のどの意味が正しいでしょうか。

ドアが開いている。
ドアを閉めてほしい。
出ていってほしい。

答えは全て正しいです。状況によって伝えたいことが変わるためです。

また、指示語や構文が文脈に依存されながら解釈されることも多いです。

Thatが具体的に何を指すのかは背景知識や発話の前後関係によって変わりますし、there isと始めれば聞き手に対して次の内容を予測させる合図として機能します。

このように語用論的な推論や、ダイクシスなどを活用しながら解釈するのがTop-downの処理です。

まとめると、

Bottom-up:どう聞き取るか
要する能力:音声を聞く力、英文法・語法の知識

Top-down:どう解釈するか
要する能力:背景知識、実用的・文化的な知識、文構成の知識

基本、Top-downもBottom-upも連動して機能します。これらの処理に長けている=リスニング力が高いと言うのがアカデミックの解釈。この2つのプロセスをバランスよく身につけることで、リスニング力が飛躍的に向上するかもしれません!

最近、「メタ認知」という言葉を耳にしたことはありませんか?簡単に言うと、自分自身をもう一人の「自分」が上から眺めている感覚のことです。リスニングにおいては、「今、自分はリスニングのどの処理をしているのか」を客観的に把握する力が、このメタ認知にあたります。

例えば、英語の音声を聞いたとき、「このフレーズ、今どこで区切ればいいの?」「これって聞き取れてる?それとも聞き逃した?」と瞬時に判断する。この能力が高まれば、リスニングはまるでゲーム攻略のように、次第に楽しく、効果的になっていきます。

下の図の示すように、メタ認知は自身の知識を客観的に評価し、自身の経験に紐付け、どう処理していくかを決定する要素となります。

(Vandergrift & Goh, 2011, p. 85)

上図(Vandergrift & Goh, 2011, p.85)では、メタ認知がどのように働いているのかを示していますが、この記事を読んでいる皆さんは、このメカニズムをすでに「体感」しているはずです・

なぜなら、文章を読みながら「これはどんなポイントを説明しているのか」を頭の中で考えているのが、まさにメタ認知のプロセスそのものだからです。

簡単に言えば、先生の視点を手に入れるとも言えるでしょう。この「俯瞰する自分」を意識的に活用することが、次のレベルへの鍵となります。

次に、リスニングにおける「意識的な処理」「無意識な処理」について説明します。これらはVandergriftとGoh (2011)が提唱する重要な認知プロセスの1つです。

イメージしやすい例として、自転車に乗ることを思い浮かべてみてください。最初は、ペダルの漕ぎ方やブレーキのタイミング、ハンドル操作などを1つずつ意識します。これが意識的な処理です。しかし、練習を重ねるうちに、何も考えなくてもスイスイと自転車に乗れるようになりますよね。これが無意識な処理です。

リスニングもこれと同じです。初めは単語やフレーズを意識しながら聞き取りますが、やがてそれが自動化され、自然に英語が頭に入ってくるようになります。この無意識の処理を目指すためには、英語を「長期記憶」にしっかりと定着させることが不可欠

反復練習や量をこなすことが求められる理由がここにあるのです。

いかがでしたか。今回はリスニングのメカニズム、その中にある1要素「認知処理」を掘り下げました。

リスニングには大きく3つのフェーズがあり、

知覚  :音を受け取る
構文解析:言語体系で処理する
活用  :妥当に解釈する

これらを支えるのが

「どう聞き取るか」と「どう解釈するか」のバランス
自分のリスニング状態を俯瞰するメタ認知
処理を無意識化するトレーニング

聞き取れないと悩む人と、聞き取れるけど話がわからない人、聞き取れるし理解できるけど時間がかかってしまう人。例えば、リスニングのテストの点数が同じ50点だったとして、自分が注力すべきところは一人ひとり違います。

でもこれらの課題はすべて、認知処理のメカニズムの中で説明できるんです。つまり、今の自分の課題を客観的に把握すれば、次に何をすれば良いかがクリアになります。その意味で、認知処理のメカニズムは自分だけのリスニングトレーニングを考えるのにぴったり。ぜひご自身のリスニング力を振り返ってみてください。では。

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