リーディングに焦点を当てると・・・
多くの学校が受験の文化により、
活動を通して基礎を学ぶ
↓
受験に対応できるよう発展的な内容を学ぶ
というプロセスを辿っています。
このラーニングプロセスは実は “Meaning/ Form-based methods → Structure-/ Conceptualization/ Construal-based method”としてLiu (2013)が言及する初心者(Beginner – intermediate)から中・上級者への学びのプロセスともある種合致しているのです。
自分に合った方法で学べるかどうか
これは学習者の学びの明暗を分けるといっても過言ではありません。ということで、今回はそれぞれの教授法を紹介していきます。
教授法 (Method)
それぞれの教授法は以下のとおり。
意味重視型教授法(Meaning-Based Method)
学習者が言語を使用して意味を理解し、伝えることに焦点を当てる方法。文法や形式よりも、言語の内容やその背後にあるメッセージを理解することが目的です。
例えばテキストを読んで、その内容について質問に答える、要約を作成するなど。
たとえ文法や構文を100%知らなくても、ある程度の意味を読みとることはできるのでBeginnerに適した指導方法と言えます。
形式重視型教授法(Form-Based Method)
言語の正確な使用に焦点を当てる方法です。言語の形式的な側面である文法、語彙、発音を習得することを目指します。
ターゲットグラマーなどの練習問題や単語の使い方の練習ですね。
こちらもBeginnerと相性の良いアプローチと言われています。英文章や内容を昇華させる必要がない点と、答えが明確である点などがその根拠となるでしょうか。
構造重視型教授法(Structure-Based Method)
言語の文法構造や文型を中心に学習を進める方法です。文法的規則を明確に学習し、それを正しく使用できるようにすることが目的となります。
例えば、文中の難しい構文が使われた文や、主語が長くて読みにくい文などを取り上げることが挙げられます。「何となくこう言っている」ではなく、この語が形容詞句として先行詞にかかっているので・・・みたいな正確な構造を把握する学習です。
パズルのように構造化された言語を理解し、その規則に基づいて正確な文章を作るまでを目指すので、中・上級者向けとなります。
概念化重視型教授法(Conceptualization-Based Method)
言語学習において、概念の形成や認知的な枠組みの理解に重点を置いた方法。文法や語彙を暗記するのではなく、言語がどのように概念を表現しているかを学びます。
概念の形成としては英語の「on」や「in」の使い分けを空間的な概念として説明することが上げられます。認知的な枠組みとしては完了形や仮定法が書き手の意図をどう描写するのかを捉えることが挙げられます。
と、書いた内容が難しいので予想がつくと思いますが、これは中上級者向けです。
解釈重視型教授法(Construal-Based Method)
学習者が言語を通して世界をどのように認識し、構築しているかを考察します。簡単に言えば、文脈や視点、意味の解釈に基づく理解を重視する方法です。
例えば、The door is open.と先生がうるさい生徒へ言った場合、文字通りの意味(ドアが開いている)ではなく、「部屋から出なさい」という暗示的な意味が含まれています。
言語学習において、単に言葉の意味を学ぶだけでなく、その言葉がどのように使われるか、どのような社会的・文脈的背景があるかを理解することが大切。そんな切り口の学習アプローチです。
まとめ
いかがでしたか。今回の話をまとめると、
こんな感じでしょうか。意味重視の方法/形式重視の方法は構造重視の方法より文法的な知識のウエイトが小さく、解釈や概念に関する知識も要しないので入り口としてある種適切であると言えます。
僕は(というか僕の世代は)形式と構造重視の教授法にフルベットした学習を実践してきました。したがって完璧な構造分解なしには理解できない考えが強く根付いていました。
今の生徒さんを見ていると、文法や文構造が完璧に把握できていなくても内容をざっくり捉えられるのだと気付かされます。
みなさんは自分のレベルに合った教授法で学べているでしょうか。もしくはみなさんが教える立場だったとき、教授法は学習者に対応しているでしょうか。
現場は一筋縄に「できている」とは言い難いでしょう。だからこそ、自身の経験に盲信しないよう英語教育への科学的な理解を深めておくのはとても大切なこと。ぜひ参考にしてみてください:)では。
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